技術センター 第二技術本部研究1部第2課 東洋インキ株式会社

T. H.(入社3年目)

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独自のアイデアを活かして、グラビアインキを進化させる。

環境調和型インキへの転換を、技術の最前線でサポート。

入社以来、東洋インキの技術部門に所属しています。大学院では有機化学や高分子化学を学びましたが、中でもインキの原料である樹脂を専門にしていたため、その知識は今の仕事にも活かされています。現在、技術部門で私が携わっているのは、グラビアインキの改良と開発です。グラビアインキは、食品のパッケージやペットボトルのラベルなどによく用いられるインキですが、最近では環境への配慮が重要視されていて、水性インキへの転換や植物由来原料を一部に使用したバイオマスインキの展開が進んでいます。水性インキは、VOC(揮発性有機化合物、いわゆる有機溶剤)の削減で大気汚染を軽減すること、バイオマスインキは再生可能な植物を原料の一部に使用し持続可能な社会へ貢献することが主な目的なのですが、使用できる材料に制限がかかる分、製品設計のハードルが高くなります。印刷のしやすさや色の表現力、擦れにくさなどの物性は既存製品並み(あるいはそれ以上)にしつつ、環境配慮をアピールしたいという市場のニーズに応える形で改善していくことが、現在のミッションです。

試行錯誤を繰り返し、お客様のニーズに応えていく。

よりお客様が使いやすい、あるいは性能の高い製品を生み出すためには、日々の実験と検証の積み重ねが重要です。様々な原料の配合を変えていくことで個々の良さを活かそうと試みていますが、組み合わせによってかえって悪い面が出てしまうこともあれば、相乗効果でさらに性能が高まることもあり、その可能性はまさに無限です。配合比を変えるなどしてトライアンドエラーを繰り返しながら解決策を探すのですが、その一方で、お客様がお困りのことに対してはスピーディな対応も求められます。営業と連携しながらお客様のご要望を伺い、納期などについて時に交渉も交えながら与えられた課題をクリアしていくことは緊張感もありますが、お客様の反応や製品といった目に見えるものを通して自分の仕事の成果を実感できることは、私にとって大きなやりがいです。

自分の関わった製品が、日常の身近なところに。

特に大きな仕事だと感じるのは、やはり新製品を市場にリリースすることです。試行錯誤して作り上げた試作品をお客様にテストしていただく時は営業や開発のメンバーと共に立会いをし、その場でお客様と一緒に印刷のしやすさや印刷した後の性能を検証することもあります。お客様からいただく意見に耳を傾けながら、インキの配合や印刷方法を変えることを通して解決策を提案します。自分のアイデアや提案が採用されて、その結果製品が売れるようになった時はやはり大きなやりがいを感じます。食品のパッケージに使われることが多いため、コンビニやスーパーなど身近なところで完成品を見ることができる点も達成感を感じるところです。嬉しくて、「このアイスのパッケージは私が関わったんだよ」などと家族に自慢したこともあります。まだまだ市場に出してみたい製品はあるので、そういった経験を積みながら、今後は特許や化学物質に関する知識も深めていきたいと思っています。これから長い目で働き続けることを考えた時に、化学と製品を結びつける知識があれば様々な場で役立つのではと考えています。例えばキャリアステップをして仕事が今と変わっても、専門知識を活かして周囲から頼られる存在になっていきたいですね。