開発概要 色材の吸収/蛍光波長制御技術×細胞相互作用官能基の導入技術

近年の再生医療技術の発達に伴い、細胞観察技術においても、より微細な領域を観察する高感度イメージングや長時間の動態観察、さらには、生体透過性の高い近赤外光による生体内の細胞・たんぱく質の動態観察など、新しい観察システムが多く研究されています。

これら新しい観察システムに用いられる色材は、光吸収や蛍光発光等の光学特性だけでなく、従来のバイオ用標識色材には無かった、より鮮明な標識、長時間発光の維持、生体内での安定性、高出力レーザーへの耐性といった新しい機能を具備することが求められています。

本開発品は、高い蛍光強度、細胞質の均一な標識、優れた光安定性を有し、創薬スクリーニングに用いられるハイコンテントアナリシスや、高出力レーザーが用いられる超解像顕微鏡の長時間観察など、細胞等生体組織のより微細な観察を可能にします。

蛍光色材開発品の外観

開発品の特長

*1 近赤外蛍光色材を用いてHeLa細胞を標識した場合
*2 近赤外領域の光はヒトの目で認識できないため、緑色で可視化しています

開発品の用途例

用途例1 細胞標識(多重標識)

可視光蛍光色材と波長の異なる近赤外領域の蛍光であるため、より高度な多重標識が可能です。

HeLa細胞を用いた多重標識 (蛍光顕微鏡による観察)

※画像の発色は、各色材が発する蛍光波長別に、便宜上、それぞれ緑、青、赤で可視的に表示しています。

用途例2 深部イメージング

生体透過性の高い波長領域において、高い蛍光強度を示すため、生体の深部をイメージングすることが可能です。また、この特徴を活かして、毛細血管やリンパ管、癌腫瘍部位等の微小部位も観察することが可能です。

in vivo近赤外生体蛍光イメージング(静脈接種, Ex720nm, Em795nm) *3

*3 Exは励起波長、Emは蛍光検出波長を表します。

用途例3 その他

遺伝子増幅蛍光標識、細胞表面解析蛍光標識、特異発現タンパク等の同定、定量マーカー、病理検査用免疫組織染色マーカー、体外診断薬用蛍光微粒子への展開が可能です。

技術概要色材の吸収/蛍光波長制御技術×細胞相互作用官能基の導入技術

生体内に存在する主な光吸収物質は、水(2000nm以上)と血液中のヘモグロビン(700nm以下)のため、波長が700nmから2000nmの近赤外領域の光は、これらに吸収されることなく、生体組織に深く浸透します。当社では、ディスプレイやエレクトロニクス分野で培った「色材の吸収/蛍光波長制御技術」と、独自の「細胞相互作用官能基の導入技術」とを組み合わせ、より鮮明な標識機能、長時間発光維持、生体内安定性、光安定性といった新しい観察システムに適した特徴をもつ色材を開発しています。

本色材は、再生医療のみならず、バイオ医薬のスクリーニングや体外診断システム等の幅広い分野への応用を目指しています。

生体透過性が高い近赤外領域

出典:文部科学省 科学技術・学術審議会・資源調査分科会報告

色材の吸収/蛍光波長制御技術

近赤外領域における吸収/蛍光を実現するため、色材の最もエネルギーの高い結合性軌道(HOMO:Highest Occupided Molecular Orbital)と最もエネルギーの低い反結合性軌道(LUMO:Lowest Unoccupided Molecular Orbital)のエネルギー差を小さくする色材設計を行いました。これらのエネルギー差を小さくするためには、例えば色材に電子供与基を導入し、HOMOのエネルギー準位を上げる手法が挙げられます。

細胞相互作用官能基の導入技術

当社は、様々な分野で培ってきた色材設計技術に、生体素材と強く相互作用する化学構造を組み合わせることで、「高い蛍光強度」、「均一な標識」、「優れた光安定性」を兼ね備えた細胞標識用近赤外蛍光色材の開発を実現しました。

高感度イメージング用近赤外蛍光プローブ

  • 高い蛍光強度とムラのない高感度イメージング
  • 優れた耐久性による高い光安定性

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