開発概要 ハイブリッド化技術×炭素材料分散技術

IoT、トリリオンセンサー社会が加速する中、工場排熱、体温などの微小な熱エネルギーを再利用する、サスティナブルな独立電源を提案致します。

印刷可能な有機材料を使用することで、加工性、実用性に優れ、曲面やウェアラブル実装など様々なシチュエーションへ対応が可能です。

開発品の特長

フレキシブル有機熱電変換材料 3つのポイント

開発品の特性

無機に比べ出力は小さいですが、印刷プロセスによる高集積化、軽量・フレキシブル性といった特長を活かし、デバイスの省スペース化、曲面配置、ウェアラブル実装へ展開できます。

有機熱電モジュール(開発品) 無機熱電モジュール(汎用市販品)
出力
(25℃ / 80℃温度差時)
μW mW
出力電圧
(25℃ / 80℃ 温度差時)
1V 0.12V
重量 5.3g 22.5g
占有体積 3.6cm3 6.1cm3
フレキシブル性
(r=0.5~2cm巻き付け時性能劣化なし)
×
印刷プロセス ×

開発品の用途例

用途例1 各種エッジセンサーの独立電源としての利用

用途イメージ:スマート工場、インフラセンサー用電源

用途例2 ウェアラブルセンサーとしての利用

用途イメージ:ロボット用皮膚、環境センサー

技術概要ハイブリッド化技術×炭素材料分散技術

本開発では、フレキシブル性と印刷特性(パターニング、大面積化)に優れた有機熱電変換材料の開発と、それを用いた熱電変換モジュール化を目指しております。材料としては、熱電特性に優れ導電率の高いCNTに着目し、さらに独自有機材料を複合化することで更なる特性向上を実現しております。

有機熱電変換材料の性能は、単位温度差当たりの起電圧を示すゼーベック係数および導電率との積から得られるパワーファクター(PF:単位温度差当たりの発電電力)で評価されますが、通常、ゼーベック係数と導電率との間にはトレードオフの関係があります。この課題に対し、CNTと有機材料の電子的相互作用を高める当社独自のハイブリッド化技術、塗膜中の最適な導電パスを構築するCNT分散技術により、ゼーベック係数と導電率を高いレベルで両立し、高PFを達成しております。

PF:パワーファクター(ΔT当たりの起電力)
S:ゼーベック係数 (ΔT当たりの起電圧)
σ:導電率

図)熱電変換性能(PF)を高める理想膜

ハイブリット化技術

・エネルギー準位制御

有機材料のHOMO/LUMO設計し、炭素材料とのキャリア移動などの電子的相互作用を制御します。

・吸着性制御

炭素材料と相互作用のする骨格を組み込むことで、炭素材料への吸着性を向上させ、ハイブリッド効果を高めます。

炭素材料/有機材料間の電子的相互作用を高め、熱電性能を向上

炭素材料分散技術

独自の分散剤、処方により炭素材料を最適な分散状態に制御することで、熱電材料のインキ化及び塗膜中での導電パスの最適化を実現し、高導電率(移動度)を実現しました。

塗工膜のSEM画像
分散体のインキ粘度

炭素材料/有機材料間の電子的相互作用を高め、熱電性能を向上

フレキシブル有機熱電変換材料

  • 高い熱電性能を有するp、n型材料(PF:270 μWm-1・K-2 <)
  • インキ化により塗布可能