トップコミットメント

事業を通じて地球環境と社会の持続的な成長に
貢献できる価値を創出する

東洋インキSCホールディングス株式会社代表取締役社長兼グループCOO 髙島 悟

困難に立ち向かい、社会の持続可能性を確保する

現在、新型コロナウイルス感染症の世界的流行が人々の生命や生活を危機に曝し、社会基盤を大きく揺るがしているという状況が続いています。また近年では、世界各地で深刻な水害、干ばつ、森林火災、地震など自然災害が相次ぎ、甚大な被害を及ぼしています。困難に立ち向かっていらっしゃる方々が一日も早く平穏な生活を取り戻せますようお祈り申し上げます。
爆発的な人口増加や経済活動の拡大といったさまざまな人間活動は、地球環境のバランスを大きく崩し、これら自然災害の直接的、間接的な原因になっています。翻って人々の社会生活では、貧困や教育格差、医療格差、ジェンダー格差などの不平等が散見され、一部の人々の豊かさの陰で人としての権利が損なわれている人々がいます。

人類が地球環境を巻き添えにして自滅するか否かの分水嶺に立っている今、多くの人々がその事実に気付き、国連で「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals;SDGs)」が採択されました。そしてそれをベースに国・行政、企業、あらゆる組織や個人が考え、議論し、動き始めたことで、私たちは“地球とともに生き延びるチャンス”を得たのだと思います。
おそらくこの選択は茨の道であり、私たちは幾度となく疑念やあきらめ、挫折に襲われることでしょう。しかし、皆で知恵を出し、力を合わせて進むことによって、地球環境と人類の持続可能性を確保し、先の世代に“未来”をプレゼントすることができると信じています。

企業活動の基盤にSDGsを組み入れ、具体的行動につなぐ

2018年、私たち東洋インキグループは、10年後(2027年)における「あるべき姿」として長期構想「Scientific Innovation Chain 2027(SIC27)」を策定しました。この構想は、私たちが経営理念に掲げる「生活文化創造企業」の対象を「生活者」から「あらゆる生命」や「地球環境」にまで拡げ、さまざまな社会課題の解決に能動的に取り組むことで、“すべての対象がいきいきと共存・共生する世界の実現に貢献する企業グループ”となることを目指しています。
東洋インキグループが創業200年となる2096年、さらにその先の未来に向けて、持続的に成長し、グループの企業活動が社会の持続可能性の向上に寄与する姿を、コンセプト「サステナブルグロース(持続的な成長)」として掲げました。また、これらを具体的な行動につなげるための考え方の基盤に、SDGsを積極的に組み入れています。

現在私たちは、このSIC27に基づき、第一の中期経営計画「SIC-Ⅰ」を実行しています。SIC-Ⅰは、2018~2020年の3年間を持続的な成長の礎を創り上げる期間と位置付け、変革のための施策を立て続けに打っています。
特に事業活動においては、かかわりの深い12のSDGs目標を明確化した上で、事業を通じた価値提供による社会課題の解決の方向性として、ライフ、コミュニケーション、サステナビリティの3つのサイエンス分野でくくられた11のドメインを定義し、東洋インキグループの事業活動の基本ベクトルを示しました。

東洋インキグループの事業活動とかかわりの深いSDGsの12の目標
図:東洋インキグループの事業活動と関わりの深いSDGsの12の目標/すべての人に健康と福祉を/質の高い教育をみんなに/ジェンダー平等を実現しよう/安全な水とトイレを世界中に/エネルギーをみんなにそしてクリーンに/働きがいも経済成長も/産業と技術革新の基盤をつくろう/人や国の不平等をなくそう/つくる責任つかう責任/気候変動に具体的な対策を/陸の豊かさも守ろう/平和と公正をすべての人に

経営戦略とCSR活動を連動させ、課題解決に資する価値を創出する

CSR活動においては、ステークホルダーとのコミュニケーションをベースに、SIC27のコンセプトである「サステナブルグロース」に向けて解決すべき5つの重要課題を策定、推進しています。重要課題のそれぞれについてSDGs目標との関連性を明確にするとともに、KPI(評価指標)と2020年度(SIC-Ⅰ完了時)の目標を定め、中期経営計画と同様、3年間の単位でPDCAサイクルを回して経営戦略との連動を図っています。
特にモノづくり企業として私たちが筆頭に挙げる重要課題1「お客様の期待を超える価値を提供し、社会に貢献する」については、製品と社会課題の解決に資する価値を組み合わせて提供するというアクションを通じて、社会の持続可能性の向上につながる結果を出しています。

その一例として、リサイクル率の低い一般廃棄物であるプラスチック製容器包装について、高品質なマテリアルリサイクルを可能とする、「プラスチック製容器包装のリサイクルシステム」の提案があります。機能性素材の開発・提供にとどまらず、コンバーターや食品メーカー、流通、小売り、廃棄物処理に至る全ステージを通じて、CO2排出量削減とプラスチックごみの削減、石化原料消費の抑制といった提供価値を訴求し、業界全体に向けたアプローチを進めています。

また、他の重要課題においても、目標を上回るCO2排出量削減や、ダイバーシティ推進、健康経営の取り組みなど、私たち東洋インキグループの継続的な企業活動が一定の成果を挙げています。

一方、昨年は、当社海外子会社における不適切な会計処理および第3四半期決算報告の遅延の件に関して、多くのステークホルダーの皆様に多大なご心配とご迷惑をお掛けしたことを深くお詫び申し上げます。現在、調査委員会の報告に基づいてガバナンスの見直し、強化、意識改革に取り組んでおります。

2020年度は、中期経営計画「SIC-Ⅰ」の最終年度として、「選択と集中指向で重点目標を掲げ、成果につながる活動を実行すること」をスローガンに、①積極的に拡大させる事業に対する社内外との連携強化と重点投資、②生販技一体となったコストダウンと利益創出による事業やエリアの構造改革、③業務改革への間断なき挑戦、の3つを基本方針として、事業の構造改革や企業体質の強化に取り組み、次期中期経営計画「SIC-Ⅱ」につなげていきます。あわせて、SIC-ⅠのCSR活動の振り返りを通じてKPIや目標を見直し、グループCSR活動の向上を図っていきます。

日本および世界各地で日々の職務に取り組む東洋インキグループ全社員の意思と力を結集し、グループ全体の提供価値「For a Vibrant World(すべての生活者・生命・地球環境がいきいきと共存・共生する世界)」の実現を目指して、社会の持続的な成長に貢献できる価値を創り続けていきます。

(CSR報告書2020より)