サプライチェーンマネジメント
調達に関する方針
東洋インキグループは世界約20カ国に約70のグループ会社を抱え、グローバルにビジネスを展開しています。さらに、事業のグローバル化により、サプライチェーンも拡大し複雑化しており、企業がそのサプライチェーンも含めて社会的責任を果たすことが求められています。東洋インキグループは、サプライチェーンも自社の社会的責任の範囲ととらえ、人権、労働、環境などに配慮した取り組みを推進しています。
そのため、「原材料購買規程」を制定するとともに、「調達基本方針」「調達先選定基準」に基づいたCSR調達を推進しています。これらの方針、基準に示す「法令・国際規範の遵守」および「CSR経営」には、差別禁止、結社の自由、団体交渉の権利、最低賃金の遵守、法令で定められた労働時間の遵守、社員の労働安全衛生、適正な労務環境の提供など、現地法を遵守することを含めています。
基本方針の改定とガイドライン策定
2022年10月、企業の調達活動に求められる社会的要請の拡大に適応すべく、「調達基本方針」と「調達先選定基準」を改定しました。改定に際しての基本スタンスとして、東洋インキグループはサプライヤーを単なる「自身のサプライチェーンの上流に位置する原料調達先」ではなく、「同じサプライチェーン上に属し、サプライチェーンをともに支える大切なパートナー」であるとし、改定した方針等に明記しました。
また、調達基本方針を補完し、東洋インキグループとサプライヤー各社がともに遵守に取り組むべきとする具体的なCSR行動規範として、「東洋インキグループ サステナブルサプライチェーンガイドライン」を制定しました。
サステナブルサプライチェーンガイドラインの内容
1. 法令遵守・国際規範の尊重 | |
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2. 人権・労働 | 強制労働の禁止、雇用の自由選択/児童労働の禁止、若年労働者への配慮/労働時間の管理/適切な賃金と手当/非人道的な処遇の禁止/差別の禁止/結社の自由、団体交渉権 |
3. 安全衛生 | 職務上の安全/緊急時への備え/労働災害・労働疾病/産業衛生/身体的負荷のかかる作業/機械装置の安全対策/施設の安全衛生/安全衛生のコミュニケーション/労働者の健康管理 |
4. 環境 | 環境許可と報告/資源の有効活用/化学物質管理/固形廃棄物/大気への放出/製品含有化学物質の管理/水の管理/エネルギー消費および温室効果ガスの排出削減/生物多様性の保全 |
5. 倫理 | 腐敗防止/不適切な利益供与および受領の禁止/反社会的勢力への関与の禁止/情報開示/知的財産権の尊重/公正な事業活動/優越的地位の濫用の禁止/内部通報制度の整備と通報者の保護/責任ある鉱物調達/地域住民等への権利侵害の禁止 |
6. 品質・安全性 | 製品の安全性の確保/品質管理/正確な製品・サービス情報の提供/品質・安全性に問題が生じた際の対応 |
7. 情報セキュリティ | サイバー攻撃に対する防御/個人情報の保護/機密情報の漏洩防止 |
8. 事業継続計画 | |
9. 地域社会との共生 | |
10. マネジメントシステム | マネジメントシステムの構築/サプライヤー・業務委託先の管理/適切な輸出入管理 |
CSR調達の推進
CSR調達を通じて、サプライチェーンにおける遵法性の確保、労働環境・地球環境の改善に貢献したいと考えています。このため、①調達基本方針の周知、②お取引先に対する検証・監査、③社員の理解深化、の施策を実施しており、海外拠点への調達基本方針の周知活動なども推進しています。
また、調達活動における人権尊重の取り組みの確認や、EcoVadisを用いたCSR評価、CSR調達アンケートへの対応を通じて、お客様と共にサプライチェーンマネジメントの構築を進めていきます。
新規サプライヤーへの取り組み
新規サプライヤーに対しては、「調達先選定基準」に基づいて評価し、一定の評価基準に満たないサプライヤーとは取引を行いません。評価基準を満たしたサプライヤーにおいても、東洋インキグループの「調達基本方針」の内容についてご理解をいただけることを前提に、取引を開始するようにしています。また、5年ごとに調達先の再評価を行い、調達リスクの低減を図っています。
紛争鉱物への対応とコバルト調達への対応
コンゴ民主共和国と近隣国から産出され、当地の武装勢力の資金源につながる「紛争鉱物(金、スズ、タンタル、タングステン)」の不使用に向けた取り組みを推進しています。
これまで直接および間接取引において、すべての調達原材料が紛争鉱物を使用していないか否かを確認したうえ、使用が発覚した場合には適切な対応をとっています。引き続き新規原料採用時の調査・確認を行い、取り組みを強化していきます。また、責任あるコバルト調達についても継続して調査・確認を行っていきます。
「ホワイト物流」推進運動に参画
東洋インキSCホールディングス(株)は、国土交通省・経済産業省・農林水産省が提唱する「ホワイト物流」推進運動に賛同し、自主行動宣言を公表しました。原料サプライヤーや取引先、物流事業者と連携し、適正な運送契約と共同物流などによる効率的な物流を推進して、持続可能な物流の実現を目指します。
- 幹線輸送部分と集荷配送部分の分離(長距離輸送・近距離配送)
- 運転以外の作業部分の分離
- 運送契約の書面化
- 運賃と料金の別建て契約
- 異常気象等の運行中止・中断等
- 共同物流の推進
物流の2024年問題への取り組み
2023年6月2日に「物流の2024年問題」への対応を加速することを目的として、経済産業省、農林水産省、国土交通省の連名で「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」が策定されました。
東洋インキグループは、中継拠点の整備・再配置を行い、配送や荷受けの最適化を進めます。さらに、納品リードタイムの緩和や、納品先での待機時間の短縮、附帯業務の軽減など、お客様のご理解とご協力をいただきながら、サプライチェーン一体となって物流事業者の負担軽減を図り、重要な社会インフラである物流の維持・改善につとめてまいります。
これまでの取り組み事例
- 幹線輸送部分と集荷配送部分の分離
- 同業会社との共同出資で設立したロジコネット株式会社での共同配送による、配車の効率化や積載率の向上(2000年~)
- 「ホワイト物流」推進運動に参画(2020年~)
- お客様のご協力のもと、配送を考慮した受注締め時間を設定し、物流事業者の長時間労働を削減(2020年~)