会社情報

経営方針

artienceグループのBrand Promiseと理念体系

経営計画

artience2027/2030 “GROWTH”

artienceグループは、2030年をゴールとした経営計画artience2027/2030“GROWTH”を掲げています。2024年1月から2029年12月までの期間を通じて、事業ポートフォリオの変革・資本効率とキャッシュフローの最大化・企業基盤構築とサステナビリティ経営に取り組み、人々が心豊かに暮らすことのできる社会の実現に貢献してまいります。

中期経営計画artience2027

1.計画策定にあたり

前中期経営計画においては、コロナ禍や急速な原材料高騰、ウクライナ紛争の長期化など大きな境変化の中、リチウムイオン電池(以下「LiB」といいます。)用CNT分散体事業の立上げなど今後の成長に向けた取り組みが進捗した一方で、既存事業の収益力やキャッシュフローなど業績・経営基盤には課題が残る結果となりました。
この様な状況下、社会から求められる価値の変化に対応し、「感性に響く価値」を提供し、心豊かで持続可能な社会に貢献する会社となるべく、artience株式会社と商号を変更するとともに、その目指す姿の実現に向けて新しい中期経営計画を策定しました。
グループが成長の軌道に乗り、市場での存在感を発揮していくために、“GROWTH”を柱に、強い覚悟を持って変革を進めてまいります。

2.中期経営計画artience2027

グループとして2029年12月期にROE10.0%以上を目標として掲げ、その過程として2026年12月期にROE7.0%以上を目標とします。2026年12月期の売上高は4,000億円、営業利益は250億円を計数目標としています。
重要な経営課題として、「事業ポートフォリオの変革」、「資本効率とキャッシュフローの最大化」、そして「企業基盤構築とサステナビリティ経営」に取り組んで参ります。

artience2027/2030全体像

3.artience2027基本方針

基本方針は以下の3 つで、基本方針1と基本方針2 を合わせて事業ポートフォリオの変革を成し遂げていく計画です。

基本方針1
  • 高収益既存事業群への変革
    2023年実績:売上高 2,834億円  営業利益 107億円
    2026年目標:売上高 3,050億円  営業利益 140億円
基本方針2
  • 戦略的重点事業群の創出
    2023年実績:売上高  387億円  営業利益 27億円 
    2026年目標:売上高  950億円  営業利益 110億円
基本方針3
  • 経営基盤の変革

基本方針1:高収益既存事業群への変革

(2026年度売上高3,050億円、営業利益140億円)
既存事業を成長、収益基盤、構造改革・戦略再構築事業に分類し、製品・市場ポートフォリオ転換も含めた変革をそれぞれ推進することで高収益化を図ります。

  • 特に包装関連分野(リキッドインキ、粘着剤、ラミネート接着剤など)の成長で収益力向上を実現
  • グローバル市場の成長取り込み、特にアジア(東南アジア・インド)へ注力
基本方針1.高収益既存事業群への変革
基本方針2:戦略的重点事業群の創出

(2026年度売上高950億円、営業利益110億円)
2つの領域にグループの資源を戦略的に配分し、新たな収益基盤を創り上げていきます。

基本方針2.戦略的重点事業群の創出

基本方針1・2による事業ポートフォリオ変革

  • グローバルなど成長市場での事業拡大(海外売上高比率23年53.7%→26年60%以上)
  • 戦略的重点事業で収益の柱を創出する(戦略的重点事業を全社営業利益の40%超へ)
基本方針1・2による事業ポートフォリオ変革
基本方針3:経営基盤の変革

従来の業務のあり方や進め方をゼロベースで見直し、新たな方法に大胆に取り組み、厳しさをもちながらも活気と規律のある、魅力あふれる組織・風土を創り上げていきます。変革の起点となるヒト/風土、キャッシュに関しては特に注力して取り組みます。

E
  • サステナビリティビジョンasv2050/2030の推進
    2050年カーボンニュートラル達成、2030年SDGs達成へ貢献
    生産プロセス革新による環境負荷低減
  • 気候変動対応の推進(TCFD開示含む)
S ヒト/風土/組織を変革
  • 人的資本の強化
    新人事制度導入、人材育成制度改革、エンゲージメント向上
  • 多様性の促進
    DE&Iの推進、国内女性管理職比率向上(23年5.5%⇒26年7%目標)
G
  • ガバナンス体制の強化(SR・IRの強化など)
  • 保有株式削減の継続

情報/DX

  • デジタル変革、SAPの最大活用

技術/知的財産

  • テクニカルプラットフォームの再構築、攻めの知財活用
矢印
  • 厳しさを持ちながらも魅力のある活気と規律のある組織・風土へ
  • デジタル技術/AI活用による生産性向上・価値創出へ
  • asv2050/2030に基づく社会的責任への対応
  • 新理念体系に基づくartienceブランドの構築

4.資本政策

1.資本コストや株価を意識した経営に向けた対応
当社の株主資本コストは約7%との認識の下、株主資本コストを上回る利益を上げることを目標として、事業ポートフォリオの変革、資本効率の向上などを意識した経営を実践していきます。また、26年12月期にROE7.0%以上、29年12月期にROE10.0%以上を達成することで、PBRの向上を図ります。
資本コストや株価を意識した経営に向けた対応

事業ポートフォリオ変革

  • 低収益事業の構造改革含む既存事業の収益力改善
  • 戦略的重点事業の拡大を着実に進め、成長ストーリーを明確化

資本効率の向上

  • ROIC指標の全社導入による効率性の向上
  • CCC改善による運転資金の縮減

資本政策

  • 総還元性向に基づく株主還元の充実
  • 保有株式の縮減

資本コスト低減の取り組み

  • 適時適切な情報開示、積極的な情報発信などIR活動の強化、ステークホルダーとの対話強化

2.投資計画とキャッシュアロケーション

基本方針に基づいた中長期的な成長に向けて、主に既存事業を対象とする300億円規模の設備投資に加え、LiB用CNT分散体事業で300億円規模の投資を見込むなど、合計で前中計の468億円を上回る600億円規模の積極的な投資を計画しています。
これら将来への投資を優先しつつ、株主還元も積極的に検討していきます。

設備投資計画の配分

設備投資計画の配分

キャッシュアロケーション

キャッシュアロケーション

3.株主還元方針
当社は、株主還元を重要な経営課題として認識しています。配当に関しましては、安定した配当を基本としつつ、利益達成時の余剰キャッシュを、戦略投資及び自己株式取得などの株主還元へ充当してまいります。また、総還元性向は50%以上といたします。
株主還元方針

価値創造モデル

当社グループは、「サステナブルグロース」が示す企業と社会の持続的成長を目指して、事業活動によって生み出される製品・サービスを通じた価値提供に努めています。グローバルにおけるさまざまな社会・環境課題を認識・把握するとともに、グループの技術力を発揮して課題解決に貢献できる道筋をお客様と共創していくというビジネスモデルを間断なく続け、「新たな時代に貢献する生活文化創造企業」として、価値創造の流れをスパイラルアップしていきます。

(統合レポート 2023より)

価値創造モデル

サステナビリティビジョン

asv2050/2030

artienceグループは、近年の気候変動対応やカーボンニュートラル、SDGsへの取り組みに関するグローバルの動向、および企業に向けられた要請が活発化している社会状況に対応すべく、当社グループのCSR/サステナビリティ活動の実践的な長期目標として、2022年1月、サステナビリティビジョン「asv2050/2030」を策定しました(2024年1月にTSV2050/2030より改称)。
サステナビリティビジョン「asv2050/2030」は、2050年を目標年に設定した「asv2050」と、そのマイルストーンとして2030年を中間目標年に設定した「asv2030」の二つで構成されます。
asv2050は、当社グループが前中期経営計画(2021~2023年)の中で宣言した『2050年におけるカーボンニュートラル達成』を中心に、さまざまなサステナビリティ活動を推進するための基本的なビジョンです。一方、asv2030は、asv2050の時間軸上のマイルストーンであるとともに、国連で提唱された2030年を目標年とするSDGs(持続可能な開発目標)の達成のための、企業グループとしての貢献を推進する中間目標です。

これら二つの目標からなるasv2050/2030は、当社グループの価値提供の方向性である「持続可能な社会を実現させる製品・サービスの提供」「モノづくりでの環境負荷低減」「信頼される企業基盤の構築」の3つの柱で構成されており、当社グループのCSR、サステナビリティ、ESGに関するあらゆる取り組みのベースとなります。

1. 持続可能な社会を実現させる製品・サービスの提供

asv2030 asv2050
  • サステナビリティ貢献製品売上高比率80%
  • ライフサイクル視点でCO2排出量削減に貢献できる製品の拡大
  • すべての製品をサステナビリティ貢献製品に
  • お客様の脱炭素化に貢献

1-1. すべての製品をサステナビリティ貢献製品に

artienceグループは、早くから製品の環境調和性の向上に取り組み、1990年代からさまざまな環境調和型製品を世に送り出してきました。近年の当社グループの製品開発においては、そのような“環境価値”だけに留まらず、人びとの暮らしの快適さ、健康・福祉、安全・安心といった方面にも目を向けており、その成果として、社会の持続可能性の向上に貢献できる(生活価値)多様な製品群を上市しています。
そこで、asv2050/2030の策定に合わせて、従来の環境調和型製品の基準に“生活価値を有する製品”の基準を加え、「artienceグループサステナビリティ貢献製品」として再定義しました。この定義拡張により、IoT・高速通信用デジタル関連素材やセンサー材料(自動運転の安全性、住環境の快適性)、バイオ・メディカル関連素材(医療、創薬、ヘルスケア)など、さまざまな生活価値を機能・特長とする製品群が加わります。

当社グループは、2050年までにこれらサステナビリティ貢献製品のグループ全体の売上高に対する売上高構成比率を国内外合わせて100%にすることを、また、その中間段階として、2030年までに同比率80%を達成することを定量目標に掲げます。

サステナビリティ貢献製品で定義する環境価値・生活価値とその方向性・事例
提供価値 方向性 キーワード 取り組みの事例
環境価値 容器・パッケージ領域 リデュース 石油原料比率の低減・置き換え(バイオマス、水性化、UV/EB化)
環境と共生する社会の実現 リプレイス 製品構成の簡素化、紙への置き換え(生分解素材、機能性コーティング)
リサイクル プラスチック循環を支える材料・システム展開(水平リサイクル支援素材・システム)
モビリティ・エネルギー領域 輸送のEV化 EV化加速に貢献する素材/技術の提案・先行開発(LiB材料、熱制御部材)
クリーンエネルギー・新エネルギー 地球環境に優しい新たな発電システムの開発・素材提案
カーボンリサイクル CCUS(CO2回収・有効利用・貯留)技術への挑戦、CO2由来原料の活用
生活価値 メディカル・ヘルスケア領域 予防・診断 疾病の早期発見・予防と罹患リスクの縮小につながる診断用材料・システムの開発
快適・健やか・安全な社会の実現 治療 先進治療・セルフケアに貢献する医薬品・医療用素材の開発
安全・安心 生体への影響のない、安全で安心な製品の提供(有害物質を含まない製品)
通信・エレクトロニクス・デジタル領域 高速・大容量通信 フォトニクス・高速大容量伝送・高速演算を支える次世代素材群の開発
高度なセンシング センサー社会・IoTでつながる社会の実現に向けたキー素材の提供
ビッグデータ データ活用による便利な社会の実現につながる技術への挑戦

1-2. お客様の脱炭素化に貢献

もう一つの目標である「お客様の脱炭素化への貢献」は、artienceグループと同様に低炭素化・脱炭素化・CO2排出抑制を目指しているお客様企業に対するコミットメントです。BtoBの素材メーカーである当社グループが販売する製品を、製品ライフサイクルあるいはサプライチェーン全体で俯瞰すると、当社グループはお客様から見てサプライチェーンの上流に位置しており、当社グループの生産活動や企業活動によるCO2排出は、お客様にとってのCO2排出、とくに原材料に掛かるCO2排出量(Scope3カテゴリ1)などに大きく影響します。

お客様が取り組む低炭素化、脱炭素化、カーボンニュートラルをサプライヤーとして支援・協力するために、当社グループは、製品そのものに掛かるCO2排出量の削減(低炭素な原材料の選択、生産時の使用エネルギーの低炭素化など)に加えて、輸送の効率化や低炭素化、お客様サイドでの製品製造時におけるエネルギーや燃料の削減、消費者サイドでの廃棄時における易リサイクル性なども考慮した製品開発を進め、サプライチェーン全体でのCO2排出量削減を推進します。

2. モノづくりでの環境負荷低減

asv2030 asv2050
  • CO2排出量:
    国内35%削減(2020年度比)
    海外35%削減(2030年度BAU比)
  • 廃棄物外部排出量:国内50%削減(2020年度比)
  • 有害化学物排出量:国内30%削減(2020年度比)
  • 生産活動でのCO2排出量を実質ゼロ、環境負荷を最小化
  • 廃棄物の発生を最小化
  • 持続可能な水利用を実現

2-1. 生産活動でのCO2排出量を実質ゼロ、環境負荷を最小化

artienceグループは、2010年度に「CO2削減プロジェクト」を発足して以来、国内・海外の生産拠点におけるCO2削減に取り組んできました。2018年度には、新たな中長期環境目標を策定しましたが、これは、2030年度までに国内のCO2排出量を26%削減(2013年度比)するというものであり、かつ科学的なバックキャスティングによって、3年ごとの中期経営計画終了年度での中間目標値を設定したものでした。

目標達成に向けた全方位的な改革によって、2020年度の国内CO2排出量は、2026年度の目標値である78,600t-CO2を大幅に下回る76,843t-CO2を達成しました。そこで、2021年度に、より厳しいレベルの目標として、「2050年度におけるカーボンニュートラル達成」を宣言し、これはasv2050/2030策定の際の中心的な目標になりました。

マイルストーンであるasv2030では、国内のCO2排出量を2020年度比で35%削減の50,000t-CO2と設定しています(2013年度比で50%削減)。これを実現するための施策として、エネルギー使用量の削減、エネルギーの低炭素化、電力の低炭素化の3つの側面で諸施策を講じます。また、排出権取引によるカーボンオフセットもカードの一つとして用意しておくとともに、将来に向けたネガティブエミッション(排出量をマイナスにしていく取り組み)も視野に入れています。

CO2排出削減に向けた施策例
施策の方向性 施策例
エネルギー使用量の削減 省エネ(工程中のエネルギーロスの排除)、省エネ視点の生産プロセス改革
エネルギーの低炭素化 生産設備の電化(直接排出の削減)、LNG代替燃料の活用に向けた準備・調査
電力の低炭素化 低炭素電力の導入、再エネ設備導入
カーボンオフセット 排出権取引による排出量の相殺
ネガティブエミッション CCUSなどの技術開発・活用に向けた準備・調査
図:国内CO<sub>2</sub>排出量(千トン)/2020年度76,843トン-CO<sub>2</sub>/2030年度50,000トン-CO<sub>2</sub>/2020年度比マイナス35% 図:海外CO<sub>2</sub>排出量(千トン)/2020年度118,786トン-CO<sub>2</sub>/2030年度95,000トン-CO<sub>2</sub>/2030年度BAU比マイナス35%

一方、今後事業の成長・拡大を狙っている海外拠点のCO2排出量については、2030年度BAU比※で35%削減の95,000t-CO2を設定しています。海外は日本と比べて間接排出の比率が大きい(エネルギーミックスが燃料よりも電力にシフトしている)ので、電力の低炭素化を中心に施策を推進します。

  • BAU比:事業の成長に伴うCO2排出増加に何の対策もしなかった場合(Business as usual)の排出量との比較

2-2. 廃棄物の発生を最小化

日本で廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)が施行された1970年代より、artienceグループは事業活動における廃棄物発生の抑制とリサイクル(再資源化)を推進し、廃棄物発生量の削減および全事業拠点におけるゼロエミッション※達成に努めてきました。
2020年度における国内の廃棄物外部排出量※は10,822tでしたが、その内訳は、廃油55%・廃プラスチック12%・廃水10%と上位3種で約8割を占めています。これらに焦点を絞り、効果的に施策を進めることで、2030年度までに廃棄物外部排出量を2020年度比で50%削減していきます。

廃棄物の内訳(国内2020年度)

図:廃油 54.7%/廃プラスチック 12.3%/廃水 10.7%/汚泥 6.0%/金属くず 9.9%/紙くず 1.6%/その他 4.8%

当社グループが化学製造業であり、その生産活動を継続拡大する限り、廃棄物の発生は不可避です。しかしながら、廃棄物の発生しにくい生産プロセスの開発や廃棄物処理方法の検討、リユース・リサイクルなど資源循環の促進、廃棄物削減に関するノウハウのグローバル共有などを通じて、廃棄物外部排出量の最小化を目指しています。

  • ゼロエミッション:当社グループでは、事業拠点での廃棄物の最終処分量が廃棄物発生量の1%以下と定義しています。2020年度は国内全体の廃棄物発生量に対する最終処分率は0.03%で、すべての事業所でゼロエミッションを達成しています。
  • 廃棄物外部排出量:有価物として売却した量および事業所内で発生した廃棄物のうち、拠点敷地内で再資源化されずに放出した、もしくは処理業者に廃棄処理を委託するために事業所外に移動させた量

2-3. 持続可能な水利用を実現

artienceグループでは、工程水(水系の化学反応、生成物の洗浄処理などに用いる水)や冷却水、洗浄水として、多くの水を利用しています。水資源は当社グループにとって重要な自然資本の一つであり、水利用のサステナビリティ向上を重要課題として認識しています。2020年度における用水の取水先のうち、約73%が地下水または工業用水(河川・湖沼からの取水)といった陸域淡水系からの取水でした。これまでも循環冷却の徹底、利用後のリユース・リサイクルによる水使用量の削減および廃水浄化に努めてきましたが、今後さらに水を必要としない生産プロセスの開発や新たな用水技術の導入などを通じて全般的な水使用量を削減し、環境保全や生物多様性保全を前提とした水利用に取り組みます。

また、廃水浄化については、当社グループは化学メーカーであるため、これまでも有害化学物質※の排出量の管理と削減に取り組んできました。2020年度における化学物質排出量は68.2tでしたが、漏洩や直接排出の防止を徹底するとともに、廃水処理設備のコストパフォーマンスの最適化を推進し、2030年度における有害化学物質排出量を2020年度比で30%削減します。

  • 有害化学物質:ここでは、PRTR法第1種指定化学物質および日本化学工業協会指定物質群を合わせた物質群を対象にしています。

3. 信頼される企業基盤の構築

asv2030 asv2050
  • 環境・社会調和な原料調達の実現
  • 社員の多様性の尊重、自然・地域との共生
  • 絶え間ないガバナンスの再構築
  • サプライチェーン、人材・地域活動、ガバナンスを環境・社会貢献の視点で継続的に改革・変革

artienceグループは、あらゆる産業・市場の支え手として、人びとの暮らし、地球環境とそこに生きるあらゆる生命の持続可能性向上に向けた企業活動を推進しています。そして、そのような企業グループであり続けるために、常にコーポレート・ガバナンスを改革し、企業としての持続可能性の向上に努めてきました。
asv2050/2030においては、「信頼される企業基盤の構築」を柱として、2050年までの長期にわたって、「サプライチェーン、人材・地域活動、ガバナンスを環境視点・社会視点で継続的に改革・変革し続ける」ことを目標に掲げています。また、2030年度までの中間目標として、「環境・社会調和な原料調達の実現」「社員の多様性の尊重、自然・地域との共生」「絶え間ないガバナンス体制の再構築」を掲げ、それぞれに短期的・中期的な施策を推進しています。

これらの目標・施策の根底にあるのは、“artienceグループらしさ”です。化学メーカーだからこそ追求し続けなければならない「環境貢献」をリーディングするという責任感であり、1世紀以上にわたって“色彩”を扱ってきたことでマインドに培われてきた、十人十色、一人ひとりが唯一の大切な存在として、「多様性」が尊重されなければならないという思いであり、学術教育の普及のために印刷インキ製造を始めたという創業者から受け継がれた「コミュニケーションの大切さ」という考えが、この柱の基礎となっています。

環境・社会調和な原料調達の実現
  • CSR調達率の向上(環境、人権など自社基準を設定)
  • 調達グローバルネットワーク・人材の強化(環境/人権関連原料情報)
  • サプライチェーンへの調達方針・基準の浸透の強化
  • サプライチェーン全体における廃棄物の低減 など
社員の多様性の尊重、自然・地域との共生
  • 社員エンゲージメント率の向上(ES調査・働き方改革)
  • 地域環境・多様性推進のための地域コミュニケーション活動推進(件数)
  • 環境、人権教育の実施推進(件数)
  • 女性幹部比率の向上 など
絶え間ないガバナンス体制の対構築
  • 事業ポートフォリオを間断なく見直す取締役会の運営
  • 気候変動対策の策定、気候変動リスクの分析と開示(TSFD対応推進)
  • 非財務情報に関する数値目標の策定、取締役会による監督、積極開示
  • 研究開発:環境価値、生活価値テーマへの開発資源シフト
  • 設備投資:環境インフラ投資枠設定、社内炭素税の導入検討 など

4. 推進体制

asv2050/2030を着実に推進していく体制として、artienceグループは、2022年1月、グループ全社レベルのサステナビリティ活動の強化を目的に、これまでのCSR統括委員会を「サステナビリティ委員会」に改称・改組し、その下に「ESG推進部会」を新設しました。

サステナビリティ委員会は、代表取締役(グループCEO)を通じて取締役会の監督下に置かれています。サステナビリティ担当役員を委員長として、全社のCSR/サステナビリティに関するあらゆる活動における計画の策定、推進、評価およびフォローを実施し、グループ経営会議などを通じて経営層へ報告を行います。

ESG推進部会は、グループ本社(artience株式会社)のESG推進部門および広報部門を事務局として、asv2050/2030に基づく全社サステナビリティ活動の推進と、気候変動対応に関する実務および推進(TCFD開示を含む)、マテリアリティ特定およびESG各分野における課題解決の推進をミッションとしています。

図:取締役会/監督/報告・提案/代表取締役社長 グループCEO/グループ経営会議/監督/報告/サステナビリティ委員会/委員長:サステナビリティ担当役員/事務局:グループ広報室、生産・物流本部/全社のサステナビリティに関するあらゆる活動における計画策定・推進・評価・フォローの実施(経営層への報告)/サステナビリティ会議(全社会議)の開催とサステナビリティ活動の報告および方針の共有/ESG推進部会/事務局:グループ広報室、グループ経営部/asv2050/2030に基づく全社サステナビリティ活動の推進/気候変動対応に関する実務および推進/TCFD提言に基づく情報開示など、社内外への発信/コンプライアンス部会/事務局:グループ法務部/経営に関する法令遵守と企業倫理確立の推進/全社コンプライアンス活動の企画・推進、社内外への発信/リスクマネジメント部会/事務局:グループ総務部/全社リスクマネジメント活動の推進/リスク発生の未然防止とリスク被害の軽減策の推進